「高城。このバカをどっか閉じ込めておけ。」

「なんでそうなるのよ!?」

「わからないならお前は大人しくしてろ。迷惑だ。」

「待って、まだやらないといけないことがあるの。」

話くらい聞いてくれてもいいのに、こちらの話を一向に耳を傾けようとしない。


「お言葉ですが、社長。確かに菊池さんの行動は目に余りますが、トシを残してまでここに帰ってきたのは何か掴んだからかと。

ただの小心者ならば話は別ですが。」


社長の横で黙って聞いていた高城さんがようやく口を開いて助け舟を出してくれた。

ただ、一言多い。



「事は一刻を争います。まずは話を聞いてからでも遅くないかと。」

「…いいだろう。話せ。」


傲慢で高圧的。

何様だよと脛に蹴りをお見舞いしてやろうかと思ったが今にも出そうになる足を必死に抑え込んだ。


その思いを悟られまいと口角を上げてはいたが額には見えない血管が浮かび上がっているような気分だ。


「これを見て。」


取り出したのは園長室の秘密の部屋から拝借した《宇都宮 マキ 記録書》だ。


「これは…。」


「まず殺害されたマキちゃんは1年前の誕生日に施設を出されたわ。

そして仙道開催のオークションにかけられた後、御堂に買われた。」


「やはりそうか。」


「えぇ。ここまでは予想通りよ。」


社長は資料を手に目を通しながら長い足を組んで読んでいく。