「頼む。」

出会ってからそんなに経っていないけれど、未だかつてない真剣な表情だった。


「……はぁ~。わかったわよ。」


私の能力を頼ってくれているところを見ると少しは認めてくれているのだろうし、信じてくれているが故の決断なのだろうと私もトシのことを信じてみることにした。


「約束して。必ず無事に社長や高城さん、そして私のもとに帰って来るって。」

「あぁ。約束する。」

「あと子どもたちのことお願いね。」

最後にリンちゃんい会って話をしたかったけれどあとはトシに任せよう。


「わかってる。あと調べてほしいことがある。頼まれてくれねぇか。」

「調べてほしいこと?いいわよ。」

「これを。」


掌の上に乗せて差し出してきたのは粒状の錠剤2つだった。


「これは?」

「何かの薬だ。これが何の薬か調べられるか。」

「いいけど、これをどこで?」

「今は何も聞かず調べてくれ。」


どういう経緯でこれを手に入れて、何のために調べるのか聞きたいことはたくさんあるが今はゆっくり話している時間もない。


「わかったわ。」

「助かる。」


トシの依頼通り何も聞かず、薬を自分の掌の上に乗せて受け取った。