「悪い。やっぱりオレもう少し残るわ。

お前は先にボスのところに帰ってろ。」

「何バカなこと言ってるの。」

「二人とも揃っていなくなるよりは怪しまれずに済むだろ。」

「そんなわけないでしょ。危険すぎるわ。」


ここは要塞。気づかれればここから抜け出すのは容易じゃなくなる。

最悪命すらないかもしれない。


「わかってる。」

「だったら私も残るわ。」

「ダメだ。お前は帰れ。」

「なら理由を教えて。」


社長に言われて護衛だからって理由だけで仕方なく付き合ったのかもしれないけれど私だって巻き込んだ責任はある。

ちゃんと連れて帰らないと社長にどんな顔して会えばいいかわからない。


「確かめたいことがある。」

「確かめたいこと?」

「あぁ。だから少しでもオレがここを無事出られるように情報操作でもなんでもして時間稼いでくれ。」

「……無茶よ…。」


私がいなくなった時点できっとトシのことも調べられる。

調べられたら佐藤りょうたという人間が別にいると気づかれるのはそんなに時間はかからないだろう。