「……ップ!!」
刃物を手に持ちながらプルプル震えているその姿がなんだかおかしくて吹き出さずにはいられなかった。
「何を笑っているのですか?」
「悪い悪い。少しおかしくてな。」
「なっ!?バカにしているのですか!?」
精一杯の戦闘態勢なのだろうが、駆除できないという結末が容易に想像できるのは言わないでおこう。
「そんなことねぇよ。それより大人しくしとけって言っただろ。あとで退治しておいてやるから火灯は休んどけ。」
「後でなんて無理です。時間は刻一刻と迫っているんです。こんなことしている間にも奴らはそこらかしこに卵を植え付けて増殖していくのですから。早くしないと手遅れになってしまいます。」
この世の危機かのように早口で捲し立ててくる。
「わかった。わかったから落ち着け。
あまり興奮するとまたぶっ倒れるぞ。」
オレは園長を見張っておかなければならないし、灯には申し訳にないがゴキブリ一匹の為にこんなところで足止め食らってるわけにはいかない。
だけどこのまま放っておいたら身体の方が心配だ。
「だったらバル〇ン焚いといてやるからとにかく寝てろ。」
「……わかりました…。」
少々納得してないみたいだが、下手にウロウロされるよりか幾分かはマシだ。
「あとで旨いもん持ってってやるからちゃんと寝てろよ。」
「やつのことはくれぐれも頼みましたよ。」
「はいはい。」
なんとか火灯を説得して部屋に追い返し、インカムで仙道を見送りに行ったと美紅に伝えた。

