「な、なんだお前か。」
かなり動揺したのか心臓がドクドクと音を立て、鳴り止まないのがわかる。
「洗濯物を持ったままそんなところで何をしているのですか。」
「べ、別に何も。
それにしても天気がいいなー。今日はー。」
「よくわかりませんが、そんなところで油を売ってないでさっさとその洗濯物干しちゃってください。」
「はいはい。」
随分遠慮がなくなったなと接し方の変化に少し嬉しくなる。
「そんなことよりおまえのその格好なんなんだよ。」
頭に三角布巾を被り顔半分を存分に覆い隠すマスク。
両手にはゴム手袋が装着され、右手にハエ叩きを左手には包丁が握られていた。
始めは触れないでおこうとも思ったのだが、左手の包丁がどうしても理解ができなかったため、ツッコまずにはいられなかった。
「……出たのです。」
「は?何が?」
「黒光りする身体から生えた6本の脚でカサカサとすばしっk……「あぁ、ゴキブリか。」
「いやーー!!その名を口にしないでください!!
あぁ…考えるだけで悍ましい……。」
顔面蒼白にしながらも立ち向かっている姿を見るに、本人は至って真剣なのだろうがオレからしてみればこの光景はコントにしか見えない。

