「はいこれ。」
ポケットの中から取り出したのは小型のインカムだ。
「これで、園長室の音声も聞き取れるし私たちもお互いに連絡が取れるわ。
万が一何かあったらこれで連絡して。」
二つあるうちの一つをトシの掌の上に置いた。
「こんなのあるなら最初から出せよ。」
トシはそう文句を言いながら、さっそく耳に装着し、つけ心地の確認と音量の調節をしていた。
「それで、何か掴めたのか?」
「まだ何も。」
「簡単じゃないとはわかっているが、取り返しのつかねぇことになる前に早く何か掴まねぇと。」
「そうね。御堂と仙道を失脚させてここの孤児院を潰す手掛かりを見つけるどころか小宮のことも殺されたマキちゃんのこともまだ何も掴めてない。」
「何かあるのは間違いねぇんだ。」
「隙を見て、園長の部屋に潜入するわ。」
「わかった。
無茶はするなよ。」
「……わかってる。」
゛……ガタッ…。゛
「だれ!?」
扉の向こうで物音がした。

