「お前、名前は?」
「……あかり。」
「あかり?どんな字?」
「火を灯すで火灯《あかり》」
「んー。ごめん。オレ、バカだから漢字わかんね。
書いて。」
紙とペンをポケットから出して渡す。
机がないから空中で書きにくそうにそこに文字を書いているのを待つ。
「へぇ〜。これで火灯《あかり》って読むのか。」
名前を知ったからといって何か変わるわけでもないが、なんだか距離が縮んだようなそんな嬉しさがあった。
「よし。火灯。
お前はぶっ倒れたことを園長や他の連中に知られたくない。
だけど、みんなの昼食を作らなければいけない。
そうだな?」
火灯がコクリと小さく頷く。
「他の連中は講義やらガキの世話やらに夢中だ。
この状況を知るのはオレだけだけど、
何か手伝えることはあるか?」
ずっと俯ていた火灯の視線がようやくこちらに向く。
「でも……。」
「こういうときは素直に甘えるもんだ。」
「……ありがとうございます…。
では、昼食の準備を手伝っては頂けないでしょうか。」
「おう。任せろ。」

