「別に言いたくないなら無理に聞かねえよ。
ただ、身体は大事にしろよ。」
処置が一通り終わり、消毒液と残りの包帯を救急箱に仕舞い込んで、救急箱の蓋をパタリと閉めた。
浮かない顔をしているものの青白かった顔も色を取り戻した。
浅かった息もしっかりと呼吸をしている。
一先ずは大丈夫だろう。
ベッドから立ち上がり救急箱を元あった場所に戻した後、手に消毒液の匂いが付いてしまっている為、洗面台に近づく。
「心配すんな。
オレが代わりにやっておいてやるから、今日はここでじっとしてろ。」
手を洗いながら真正面の鏡に写る彼女の姿と会話する。
「ですが……。」
「こういうときは素直に言うこと聞くもんだ。
あとでお前にも何か食べられるもの持ってきてやるから大人しくしてろ。
園長先生にもオレから話ておくからさ。」
「やめてください!!!」
弱々しい彼女から思いもよらない大きな声が発せられた。
驚いて言葉が出ず、泡だらけの手のまま鏡越しの彼女の姿をジッと見ながら固まった。
蛇口から流れる水の音が良く聞こえる。

