それから彼女を医務室のベットに運んだ。
医務室の中は消毒液独特の匂いが充満しており、学生時代よく保健室で授業をサボっていたなぁなんてことをふと思い出させる。
まさか道に迷って扉を開けまくったのがここで役に立つとは皮肉なもんだ。
「じっとしてろよ。」
ベッドの傍に座り、救急箱から消毒液を取り出してコットンに消毒液を染み込ませ、彼女の腕の傷口をゆっくりと消毒していく。
「……痛っ!?」
ビクッと身体が跳ねる。
「……わりぃ。もう少し我慢してくれ。」
彼女の腕に包帯を巻いていく。
「それにしてもお前、ちゃんと飯食ってんのか。」
少しの衝撃だけで折れてしまうのではないかと思うほど彼女の腕は細かった。
弱々しく痩せた身体にビンに入った錠剤。
今回倒れていたのは、恐らく栄養失調や貧血とかそんな類いではなく何か別の悪い病気なのだろうと簡単に推測できる。
「……今回のことは感謝いたします。
今後、このような事がないよう気をつけます。」
なんだか聞いて欲しくないと言わんばかりに5メートル級の高い壁を一瞬で作られたような気がした。
そもそも初対面なわけだからある程度は壁があるものなのだろう。
だけど、あの惨事を目の当たりにしてしまった立場上心配くらいさせてもらってもバチは当たらないと思う。
「お前、どっか悪いんだろ?
今日は休め。」
「私は大丈夫です。
それより昼食の準備をしなければ。
こんなところで休んでいるわけには…。」

