「店長。もうお店閉めちゃいますね。」


「うん。お願いね。」


ここは、駅から少し離れた郊外に位置するためかお客さんは多くはないが少なくもない。

客層もご近所さんがほとんどでアットホームな雰囲気が親しまれている。

今日も最後のお客さんが店を出て、なんの問題も無く無事に閉店することができた。


閉店時間が過ぎていることを確認して、表に掛けられている”OPEN”の札をひっくり返して”CLOSE”に切り替える。

自らの仕事ぶりを振り返りながら後片付けをしているとき、



チリンチリン……。



お店の正面入り口の扉が開き、軽快にベルの音が鳴った。


「申し訳ありません。今日はもう……。」


表に立て掛けてあった“CLOSE”の文字が見えなかったのかな?と思いつつ、お客さんを見てみるとそこには強面お兄さんが二人とその二人にどう見ても不釣り合いなスーツをきっちりと着て20代後半の男がいた。