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○×公園の時計台の前で長身でグレーのスーツに身を纏い、腕には少し無理して購入したと言っていた高級時計ブランドの時計をしている男を物陰から確認する。
約束の時間に刻一刻と近づくにつれて少し、腕時計を見て時間を何度も確認している様子だ。
「いい?
ついて来るのはいいけど、遠くにいてよね。」
私はクルッとトシの方に振り返り気配は消すようにと注意を促した。
「あの男誰だよ。」
我妻 伊織24歳。
大手建設会社に勤める営業マン。
「私の彼氏よ。」
「はぁ!?お前男いたのかよ。」
「そりゃあ、私も彼氏の一人や二人いるわよ。」
「お前ビッチじゃねぇか。」
「どういう意味よ。」
伊織は昔近所に住んでいて、よく遊んでもらっていた。
私が中学に上がる頃、伊織は大学に進学と同時に一人暮らしをするため地元を離れた。
当時私は伊織に恋をしていたし、伊織も私のことが好きだと思っていた。
しかし伊織は何も言わず地元を離れてしまい、あっけなく玉砕。
しばらく傷心していたのを今でも覚えている。
それからしばらく疎遠になっていたのだが、皮肉にもお父さんの葬式に再開。
そこから何度か会うようになって告白され、交際に発展。
これでも一応ちゃんと純粋に恋愛をしていたりする。
だけど、あのときなぜ黙っていなくなったのか。
あのとき私のことをどう思っていたのかまだ聞けずにいる。

