「話は終わりだ。今日はもうこのままうちに帰るといい。」
「あ、待って。今日はこの後1件予定があるの。
社長の家にはそのあと行くわ。」
昨日のメールにあった待ち合わせの件だ。
「何の予定だ。」
「人と会うの。」
「誰とだ。」
「安心して。いきなり契約違反はしないわ。
情報屋は関係ない。プライベートなことよ。」
怪訝な表情を浮かべたままこちらをじっと見てくる。
「社長。手続き完了致しました。」
「わかった。」
電話を終えた高城さんは手続きが完了したことを社長に報告する。
それにしても、早い。
ほんの数分この後のスケジュールの話をしている間に全て終わっていた。
「とにかく一人で出歩くな。」
そして、また何でもないかのように話を戻す。
私にとっては人生を左右するほどのものなのに、この人にとってははした金なのだと思い知らされる。
「護衛をつける。今後、外を出歩くなら護衛を連れて行け。
高城。トシを呼べ。」
「はい。」
高城さんが手に持っていたスマートフォンでまた電話を掛けた。
そして、数分後部屋の扉がノックされ一人の青少年が入ってきた。
その人物はここに来た時、とうせんぼしていた人だった。
「トシ。護衛としてしばらく美紅につけ。」
「……わかりました。」

