「高城。」
「はい。」
社長はすかさず隣に立つ高城さんに声をかけた。
「こいつの借金全額オレが持つ。至急手続きしろ。」
「かしこまりました。」
そして、何でもないかのような表情でいとも簡単に多額の借金の肩代わりをすると言い出した。
それを受けた高城さんは内ポケットからスマートフォンを取り出しどこかに電話を掛けた。
「………ってちょっと!?何勝手なことしてるの!?」
あまりにも自然に指示するものだから一瞬何が起こったのか理解するのに時間がかかった。
「お前はもううちの人間でオレの愛人だ。それくらいの面倒見るのは当然だろ。」
「だけど別にそんなことまで頼んでない。」
「いいから素直に甘えてろ。それにお前の母親、とんだ悪徳金融から金を借りていたみたいだからな。
例え無事完済できる金額用意できたとしても理不尽な条件叩きつけられて死ぬまで追いかけられるのがオチだろう。」
「そんな……。私、別にそこまで頼んでないわよ。」
「だったら、返す算段でもあるのか?」
返すあてなんてない。だからこんなに必死になっているわけだし。
「何が目的なの?」
「護衛対象が借金に首が回らなくなったから売り飛ばされたなんてことになったら元も子もないだろうが。」
それはごもっともの話だ。
だけどここまで人様の世話になっても良いものだろうか。
「安心しろ。ちゃんと金は身体で返してもらう。覚悟しろよ。ボロ雑巾のようにこき使ってやるからな。」
ニヤリと不敵に笑う社長の目は本気だ。
頼る相手を間違えたかもしれないと今更ながら後悔したのであった。

