「まるで見てきたみたいだな。」
「えぇ。見たわ。
ハッキングした記録データには動画も残されていたもの。
激痛に泣き叫ぶ子どもの声や薬づけにされて抜け殻になってしまった子どもが映っていたわ。
吐き気がした。とてもじゃないけど見ていられなかったわ。
世も末よ。こんなの許されていいはずない。」
映像を見た時、高く売れる情報がないかとかそんなことより目の前に繰り広げられる残忍な現実に自然と涙が零れ落ちていた。
同情とか哀れみとかそんなんじゃない。
単純に悲しかったのだ。
一つの現実を目の当たりにしてしまった責任感からなのか、単なる正義感なのかそれとも己の身に危険がふりかかるかもしれないという危機感からなのかはわからない。
友達とバカやって、進路に悩んで、好きな人に恋をする。
そんなありふれた日常があるはずだった生活がこの子たちには訪れない。
その姿が少し自分に重ね合わせたのかもしれない。
ただ、何の罪もない人間が搾取されていいわけがない。
「これは?」
鞄の中から一つのディスクを取り出し、手渡した。
「さっき話した情報の証拠よ。」
仙道から収集した情報やハッキングで得たデータだ。

