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「だーかーらー、水嶋匡に用があるの。」


「だから何の用だ。」

「あんたじゃ話になんないって言ってんでしょ。」


「ここは子どもの来る場所じゃないって言ってんだろ。」



茶髪でガラの悪そうなお兄さんに扉の前で止められ、取り次いでもらえない。


視界に入る部屋の中には他にも何人か同じくガラの悪そうな人間がいてこちらの様子を伺う者や我関せずの者もいた。


用もない人間に阻まれて中々進まないやりとりにしびれを切らす。


それに、私を子どもだと言った本人もさほど私と変わらないくらいの年頃だと思われ、それがまた私のイライラを募らせる。


「トシ。何を騒いでいる。」


大本命。


水嶋匡本人と秘書らしき高城と呼ばれる男が様子を伺いに出てきた。


かなり大きな声で騒いでいたから気になって奥の部屋から出てきたのだろう。


「お前‥‥。何の用だ。」


思いもよらない人間が訪ねてきたものだから驚きを隠せない様子であるが、部屋から出てきて私の姿をするや否や冷たい声で最低限の言葉を吐く。


中に入るよう促すこともなく扉に前で要件を聞くなんて随分な待遇だ。


「お願いがあってきたの。」


「断る。帰れ。」


そういうと、興味なさそうにこちらに背を向けソファに腰かけ新聞を広げ始めた。


「まだ何も言ってないじゃない。」


「聞かなくてもわかる。

どうせろくなことじゃないだろ。」

なによ!!
そんな邪険にしなくたっていいじゃない。