「…お前、名前は?」

「ん~?

 何でそんなん聞くん?」


 きょとん、とした顔で男が聞く


「何で…って」


 こんな上玉、1回だけで逃すのはもったいない

 けどそんなこと本当に言えるわけもなく
 口をつぐむと
 男が急に悪戯っぽい顔になって


「うそうそ、
 ちょっと意地悪言うてみたかっただけ


 俺、ケイって言うねん

 お兄さんは?」


 男…ケイが薄い唇で言葉を紡ぐ


「…健斗」

「けんと?
 ほなけんちゃんやね

 …なぁけんちゃん」


 せっかく泊まりで入ったのに
 1回だけで終わるんもったいないと思わへん?


 言葉が出ない俺に
 ケイは煙草の火を消し
 絡みつくようなキスをした