「ごめん。」
廉がぽつりと言った。
「...え?」
「今度は俺が言っていいか...?」
声が震えてる。
怖いけど、聞かなきゃ。
「いいよ」
「俺、佐伯に脅されてたんだ。」
「佐伯さんに?」
「あぁ、伊織と別れて私と付き合わなきゃ伊織を痛い目に合わせるって。」
「...」
「俺だって別れたくなかった。やっと捕まえたのに。でも、そうするしかなかったんだ。」
「...うん」
「伊織が佐伯に呼び出された時も、伊織が暴力なんてしないって分かってた。でも佐伯のことをかばうしかなかったんだ...本当は伊織のこと抱きしめたかった。ごめんなって言いたかった...」
廉の声が震えてる。
廉も苦しかったの...?
「伊織が俺にいろいろしてくれてたのも知ってる。お弁当だって。」