「楽しいはなししてあげる」 有己は切り出した。 「綺麗な桜の木の下には死体が埋まってるって聞いたことあるかい?」 「ああ、聞いたことはあるよ」 果たして本当に楽しいはなしなのだろうか。 「昔ここんとこには 綺麗な綺麗な桜が一本だけあったのよ。 …ほら、ちょうどあそこの木がずらーって並んでるところ。 ひとつぽこんと空いてるでしょ?あそこにあったの。」 5月の風に吹かれ、光をうけて下にちらちらと反射するそれは、 なんだかちょっと不気味に思えた。