「は?んなわけないじゃん!」


あたしは周りを気にせず、ついデカい声を出してしまった。


「おい、そこ。うるせーぞ」


教壇から聞こえた声に顔を向けると、禿げた男がいた。

英語科の木村だ。

まわりを見渡すと、授業を受ける生徒達。


ーーー今、授業中だったんだ。


隣からは小さな笑い声。

「桜庭うるせーぞ」

木村の口調を真似して笑う荒木。


ーーーまじうざい。


あたしは荒木を睨んでから、窓の方を向いた。


喧嘩するほど仲がいい、なんてよく言うけど、そんなの嘘だ。

何かと絡んでくる荒木は、あたしからしたらウザい。