すぐ隣で、荒木がこちらを向いて寝ていたから。


ーーー忘れてた。荒木は隣の席だった。


また窓の方を向いて寝ようと思った。


でも、あまりにも気持ち良さそうに眠る荒木の顔から目が離せなかった。


こんなに近くで、荒木の顔を見るのは初めてだ。


こいつ、意外と綺麗な顔してる。

ボタンを開けすぎたワイシャツからは、焼けた肌。

それに、頼もしい腕。


ーーー黙ってれば、いい男なのに。


でも次の瞬間、いきなり目を開けた荒木。


ーーーえ?寝てたんじゃなかったの?



目が合ってしまい、あたしは慌てて目をそらした。


「何、見てんの」

「別に見てないし」

「寝込み襲うつもりだった?」


隣を見ると、ニヤニヤ笑う荒木の顔。


ーーーありえない。ばかじゃないの?