今目の前にいる荒木。

こいつも男なんだと、改めて気づかされた。


キスしたせいで、男だと意識してしまう。


目を合わせれば合わせるほど、荒木を意識してしまいそうで、


「不良だしチャラいし最悪だな」


あたしはそう言って、荒木から目線をそらした。






「好きな女にしか、しねーよ」





ーーーえ?



荒木の言葉に、あたしは耳を疑った。

好きな女…?


荒木を見ると、その真っ直ぐな目に、あたしは目を離せなくなった。



「…何か言えよ」


ーーー何かって何。

この状況についていくだけで、精一杯。


そんな黙るあたしに、

「嫌なら拒否って」

荒木はそう言って、ゆっくり顔を近づけた。