「あたし本当の名前は神木夢華っていうの」
「え?」
いきなり黒川が言う
ちょっと待て
黒川じゃなくて
黒崎でもないってことか?
「本当の父親は黒崎組にいた幹部の人で
今の父親の前の奥さんがその人と不倫して出来たのがあたしなの
父親は殺されて母親もいなくなったあたしは
黒崎の人間として生きることでしか生きていけなかった
小さいころから裏切り者のレッテルを貼られて
邪魔者扱いされてきた
あの人に新しい奥さんが出来てからは余計ひどくなって
そんな中で出された使命が琉桜を潰すことだった
マンションももらえてあの家に帰らなくて済むならって
始めはそんなことしか考えてなかったの
でもみんなと一緒にいるのが楽しくなって
騙してるのが辛かった
あの人から作戦始めろって言われた時
やらなくてすむ方法考えたけど
あたしがあの人に従わずに生きて行く方法がなくて…」
俺は黒川の手を握った
「もういい」
「え?」
「辛いこと話す必要なんてねえ」
気づいてやれなかった俺が悪かったんだ
同じ教室で苦しんでるのをもっと早く気付けばよかった
そう思った



