「バカね 千秋はその年月分辛かったんでしょうに あたしなんて気がついたら夢華に持ってかれたのよ 辛さなんて千秋に比べたら」 どうやっても秦を越えられない ずっと感じてた 毎日のように それが俺を苦しめた でも 「辛さなんて比べるものじゃないですよ」 俺が言うと夏妃さんはふっと笑った 「そうね」 ジントニックを口にする夏妃さんの横顔を眺める 「おかわり いかがなさいますか?」 バーテンダーに声をかけられて俺は顔を前に戻した 「マティーニください」 「かしこまりました」