俺の親父は朔を息子みたいに可愛がってて、朔も親父を慕っていた。

だから朔は、俺の家族がいい家族だと思い込んでいるんだろう。


「お前休みの日何してんだよ!おっちゃん達心配してねえの!?」

「ああー、たまに電話くるけどさ・・・」

「バッカ!帰ってやれよ!」


やっぱり帰った方がいいのか・・・。

朔の言葉に、心が揺れる。

確かに何も知らない親父に心配をかけるのは間違ってる。

お袋に会いたくないからって帰らないと、親父を心配させたままだ。


「・・・冬休みにでも、時間見付けて帰るわ・・・」

「そーしろ、そーしろ!実家の良さを知れ!」


ケラケラと腹が立つ笑い声を上げ、朔はメニュー表のデザートを見つめる。


「・・・なんか笑いすぎたら甘い物食いたくなっちゃった。食後にアイス頼もうー」


家を出てから数カ月。

今更だか、家を出てからお袋の声一度も聞いてねえや・・・。