接吻《修正中》

俺は奈々の腕の中から、柴犬をヒョイと抱き上げた。

馬鹿だな。

本当に・・・。


「お前コイツに気とられすぎだって言ってるだろ。背中濡れてる、風邪ひかれたら困るから俺がコイツ持つ」


このチビは、本物の犬以上に手がかかる。

ヘヘッ、と奈々は綺麗に並んだ白い歯を見せて笑う。

可愛いより面白いその顔は、俺の中から寂しさを消し去る。

一人は辛い。

一人は悲しい。

・・・奈々。

お前は、素直過ぎて怖いな。

俺の心を読んでるのかと思っちまった。

何も知らないはずなのに、奈々は俺の中の弱い部分を掘り起こす。

そして。

予想外の言葉で、その穴を埋める・・・。

気付いているのか、いないのか。

計算なのか、天然なのか・・・。

何も、解らないのに。