接吻《修正中》

ポケットの中の折り畳み式の携帯を取り出し、時間を確認する。

・・・まだ、五時前・・・。

体も心も、目の前のドアを開ける事を拒む。

フウーッと息を大きく吐き出し、ドアに手をかけた。

白を基調とした小さな一軒家。

二階の窓際が俺の部屋で、部屋に行くためには必ずアイツがいるであろうリビングを通らなければいけない。

ドアを開けるとカチャッと小さな音が立ち、俺は家の中に入る。

見慣れたアイツのシンプルな黒の靴。

・・・やっぱりいるんだな・・・。


「・・・寛久?」


ドアを開ける音が聞こえたのか、お袋の声と床を歩く足音が近付いてくる。


「・・・寛久、おかえり・・・」


ほら。

やっぱり、そう・・・。


「今日は真っすぐ帰ってきたのね」


お袋はニコッと笑いながら、俺におかえりなんて言う。

本当は、おかえり何て思っていないくせに。