少しの風でヒラヒラ舞う雪が、まるで花吹雪みたいに見えた。

チャ太郎は朝から尻尾を振り回し、外に行きたくて疼いている。


「なあ、チャ太郎・・・。出掛けたいか?」


本当に人の言葉が解るんじゃないかって不思議になるくらい、チャ太郎は俺の言葉に反応する。

ツルツル滑りながら部屋を駆け回るから、爪と床がぶつかる音と、キャンキャンと吠えるチャ太郎の声が静かな部屋に響く。


「お前を、紹介しなきゃだよな・・・」


揺れ動く心は、憎しみと切なさが混ざり合う。

まだ許せないのに、あの頃に戻りたい。

そんなの無理だと解っていても、ポッカリ空いた穴を埋める奴が現れたから・・・。

だから、今なら。

違う見方を、出来る気がしたんだ・・・。