冬休みが終わり、三学期が始まった。


演劇部も、活動を開始する。


放課後、洋平が部室に行くと、三田村がにやつきながら話しかけてきた。


「よお、色男」


「なんですか、いきなり?」


「加火島は楽しかったか?」


「げ」洋平はあわてた。「なんで知ってるんですか?」


「川本から聞いたに決まっとろうが。もう、みんな知ってるぞ」


部室を見渡すと、他の部員達もにやつきながらこちらを見つめていた。
当のミツキはひょうひょうとした様子で雑誌を読んでいる。三田村が耳元でささやいた。


「あとでみっちりと結果報告してもらうけんな」


洋平は顔を赤くしてうつむいた。


部員が全員集まって、屋上へ行こうとしたとき、藤沢に呼び止められた。


「麻見君、わたし達は部室に残ろ」


「え?」


「裏方は何もせんけん、屋上にいても寒いだけやろ。部室でゆっくりしようや」


洋平は、寒風吹きすさむ窓の外を見てうなずいた。


「そうですね」


洋平は、藤沢といっしょに部室に残った。