午後一時になり、洋平は演劇部の舞台発表を見に行った。


舞台発表は、体育館で行われていた。


劇の内容は、ファンタジー風のコメディで、結構おもしろかった。


王様役の少女の出番は少ししかなかったが、声をはって、一生懸命に演じる姿には好感がもてた。


劇が終わると、降ろされた幕の前に出演した部員が並び、部長がひとりずつ配役紹介をしていった。


部員達は紹介されるたびに、それぞれおどけたポーズをとったり、恥ずかしそうにはにかんだりと、様々なリアクションを見せた。


そして、あの少女が紹介された。


「王様役をやったんは、今年の新入部員、一年四組、川本ミツキです」


その少女、ミツキは、観客にむかって大きく手をふった。


洋平は、彼女の名前とクラスを、頭の中にしっかりと刻みこんだ。