日がすっかり沈んだ頃に、お好み焼き屋に着いた。


店内に入ると、複数のしゃがれた笑い声が聞こえてきた。土方風の男達が、カウンター席を埋めて酒を飲んでいた。かなり酔っているらしく、どの男も、濃く日焼けした顔を紅潮させていた。


店員のおばさんに案内されて、部員達は奥の座敷にあがった。
洋平は三田村といっしょに端の席に腰をおろした。三田村は、積んであった座布団を近くの部員達にくばりながら聞いた。


「麻見、おまえ川本の隣に座らんのか?」


ミツキはだいぶはなれた所に座っていた。


「そんなあからさまなこと。恥ずかしくてできませんよ」


「積極的のないやつやのう」


「三田村先輩こそ、淵上先輩の隣に行かんのですか?」


淵上は、ミツキの隣に座っていた。


「おれ達は人前ではべたべたせんことにしとるんよ」


「人前じゃないところではべたべたしてるんですか?」


座布団で頭をはたかれた。どうやら図星だったようだ。にやつきながら洋平はつづけた。


「うらやましいですね。ふたりきりになったら膝枕とかしてもらってるんですか?」


蹴られた。なんとこれも図星だったようだ。