ミツキは小さくふるえて目を丸くした。両肩に置いた手に、ミツキの体温があがってゆくのが伝わってきた。洋平も、自分の顔が熱くなってゆくのを感じていた。


洋平は言った。


「これは誓いやけん」


「え?」


ミツキはまばたきをした。


「おれ、ほんまにろくでもない男やけど、これだけは誓うわ。今回みたいなことは、もう二度と、絶対に起こさん。もう絶対に川本を、いや、ミツキを傷付けん」


しっかりと言いきった。


ミツキは顔を赤くしながら、こまったように笑った。


「いや、それは無理やろ」


「え?」


「麻見君、そんな器のでかい男やないもん」


「うぐ」


言葉につまる。


「でも、心意気は伝わったよ。ありがと」


ミツキも洋平に素早くキスをした。そして肩の力をぬいて言った。


「いいじゃん。傷付けても。うまくお互いのご機嫌取りをするような上手な恋愛よりもさ、思いきり言いたいこと言いあって、喧嘩して、傷付けあって、仲直りして、でもまた喧嘩しちゃって、でもまた仲直りして。わたしは麻見君と、いや、洋平と、そういう下手くそな恋愛がしたい」


洋平は、ミツキの言葉を噛みしめ、苦笑した。


「まったく、おまえにはかなわんわ」