「ああ、そうか。うん、そうよな」仁さんはため息をついた。「悪い。ちょっと取り乱した」 「仁さんでも、取り乱すことがあるんですね」 「何やそれ?」 「いや、完璧なひとだな、とか思ってたもんで」 「そんなことあるかいや」水を飲む。「まあ、おれは部長やけんな。多少は完璧っぽいふりしとるかもしれんけど」 「大変ですね」 「まあな」 仁さんは笑った。 しかし洋平は、笑い返すことができなかった。