「……りんは死か、当分監獄に入ると思っていたのに!」


「正当防衛が罷り通って無実になり、街をうろつかれたら今後怖くて歩けません。後少しで卒業だし、早く引っ越したいな……でもまだ家のローンがあるのかなぁ。

お父さんも本調子じゃないし、もう少しだけ我慢しなくっちゃ駄目かな――」


銀色のスプーンで生クリームとチョコレートをすくった。口の中でほろ苦く広がる。


「少しだけ、シナリオ通りにいかなかったね……猿田がある程度どんな人間かは調べていたけれど、まさか刺されてしまうなんて――狙いはりんのみだったのに」


クリームの上のさくらんぼを指で掴み、口に含んだ。


――今の気分は最高潮だった。ああ、こんなに清々しい日が訪れるなんて!