玄関まで酒の臭いが濃く漂っていた。ビールや日本酒、焼酎……いつもよりも多種の香りが入り混じっている。やはり荒れているのは間違いない。


生唾を飲み込み、恐る恐るリビングに近づく。


「あ! ゲ、ゲームが! きゃああああ!!!!」


木目の床に横たわる小犬が、剥製のように動かなかった。


――まさか、りんさんが……ゲームを殺した? 嘘よ! 嘘だといって! ゲームが死んだ? 嘘!!!!


慌ててゲームに駆け寄り、胸に抱いた。まだ暖かく体温が残っている。蹲り、ぎゅっとゲームを抱きしめた。涙が滝のように流れ、視界がぼやける。


「りんさん……ゲームに何をしたの?」


――この女、絶対に許さない。