――本当にそうなのかな。


「先生、今玄関を開けるね」


ポケットから家の鍵を取り出し、ドアノブへ差し込んだ。


「大丈夫。りんさんの力をセーブしてあげるよ。そろそろ離婚の危機に追い込もうか……過去に僕を裏切った罰さ」


――過去? やっぱり二人は付き合っていたの? でも美人のりんさんが猿田先生をわざわざ選ぶ? 


「先生開いたよ」


この世界は何が真実で何が嘘なのか、さっぱり分からなかった。


母も真相と架空の合間で殺されてしまったのかな……


「ん! なに、この臭い! お酒?」


嫌な雰囲気を嗅ぎ取りながらも、一歩一歩前に出た。