綾は普段の笑顔を見せ、僕を見送らなかった。


すぐにお皿に視線を戻し、お盆に載せていた。


ポケットにある小型カメラをそっと握り締める。


――りんさんとの約束は守れなかった……


でも分かったことがある。


想像した以上に、綾は強くなっている。


この家を一歩でた僕は、その後、猿田とこの家族に何が起きたのかは知らない。


僕は僕で、不幸せな自宅へと戻った。