再生ゲーム

 そっか、お父さんは何一つ疚しいことが無いから、怖がる必要もないんだ……あいつは僕の顔を見たら、どんな表情をするんだろう? 僕だって同じ生徒なのに。


「猿田先生。今日はとっても可愛いゲストが来ているのよ、こちらにどうぞ」


「ゲスト? どーも、お邪魔します……おや、並木るい君? どうして君がここに」


当然のように猿田はリビングに姿を現した。すぐさま僕を見つけ、眼を細める。一瞬、眼光が鋭く睨みつけたのを見逃さなかった。


「猿田先生じゃないですか! どうしたんですか……こんばんわ」


わざと知らない振りをして、驚いて見せた。


「子供が良くないなぁ? こんな時間に、人様の家で夜ご飯をご馳走になっているなんて」


お前だって人の家で、毎晩、家族団欒をぶち壊しているんだろう? 子供と大人? やっていることはお前の方が酷いじゃないか。


「先生、そんな固いことをおっしゃらないで。私が誘ったんです。綾ちゃん、近頃元気がなかったから……」


「そうなんですか! それはグッドアイデアですね」


りんへ眼差しを向ける猿田は、うちにいる男、康夫と同じ眼をしていた。僕に向けるあいつと同じ眼。


猿田? なんなの? 綾だけじゃなくて、りんさんも好きなの? 


キタナイ! キタナイ! キタナイ! オトナ! 


頭の中で飛んでいる蝿がそう言っていた。