キッチンから、りんさんが僕を呼んでいる。振り返ると、また綾は機嫌が悪そうな表情を浮かべていた。


「綾、先に行ってて」


「分かった。私の部屋、真ん中だから」


「うん、ノックするね」


階段を駆け上がる綾を見送ると、キッチンへ急いだ。りんさんという人が、段々と分からなくなってくる。


「りんさん、なんですか?」


「ジュースとお菓子……それとこれを渡しておくわ?」


「なんですかこれ?」


長方形のこの物体は、小さな画面が付いていて、今まで見たことがない代物だった。


「それ、後ろをひっくり返してみなさいな?」