「本当よ。オバサン、嘘吐きは嫌いなの」


微笑んで見せると、るいは少しだけ安心したように姿勢を正した。


「でもどうやって?」


「女なんて簡単よ。初めての男って忘れられないものよ? 手を出して見なさいな。それにるい君、貴方はもうオバサンの言う通りにするしかないの。これは命令ね」


「命令!? なんでだよ、僕はなにもしてない!」


「なにもしてない? 嘘吐き。オバサンは嘘吐きは嫌いって言ったばかりでしょう? 貴方、神谷君に何したの? こんなこと、お母様が知ってしまったら泣いてしまうわよ?」


「くっ!」


るいは唇を噛み締めた。膝の上の手の平が、拳を作った。


「男は綾の為に毎晩うちに来る。迷惑をこれぽっちも考えずにね。貴方もその男に負けずに毎晩来るの。分かった? ここで夕食を食べるより楽しいでしょう」


「それはそうだけど」


歯切れの悪い口調。心はもう決めているくせに。


「いい? もう一度言うわよ。これは命令。綾を自由に出来る、魔法のような命令なの。男に取られてもいいの?」


「それは嫌だ。絶対に許さない!!!!」


「そうでしょう? 今日は貴方、うちに泊まりなさいな……それと、綾と関係した証拠写真が欲しいわ? 綾のあられもない姿を、撮影して来て頂戴」


「そんなことをしたら、嫌われちゃうよ!」