うちの中に女の影。それだけは絶対に許さない。不審者だろうと私が打ちのめす。


扉を開けると綾が目を擦り立っていた。


「おはよう、お父さん。誰だろう? 玄関で声がするよね?」


「綾は心配しないで、仕度しなさい。お父さんが様子を見てみるから大丈夫だよ」


「うん! 分かった」


一度も私とは目を合わせないこの子。いつになったら打解けてくれるんだろうか。可愛さあまって憎さ百倍とは、このことだ。


「拓也さん行きましょう、私もいろいろ準備をしないと……変な人だったら追っ払ってね」


「ああ、もちろんだ」


拓也の背中は大きい。そのたくましさに、思わずパジャマの裾を掴んだ