「良かったな、綾。お父さんのマグロもほら、食べなさい」


「きゃあ!」


りんの小さな悲鳴。気にせず、御飯を口に放り込んだ。


「どうしたんだ、りんは?」


私のお皿に刺身を移す、箸の動作が止まった。


「さぁ、玄関で転んだんじゃないの? お父さん、今日は本当にありがとう。

折角仕事を切り上げ、早上がりしたんだから、お酒でもゆっくり飲みなよ」


テーブルにあった缶ビールをグラスに注いだ。


「そうだな、今日は飲んじゃおう。ストレス解消だな! しかし、遅いなぁ。町内の人でも来たのか?」


戸口で甘いトークでも繰り広げてるんじゃないの。