「止めてったら、きゃあああああ! 誰か助けて! ぅぅぅ……」


力任せに口を塞がれたため、声がくぐもった。男が耳に、そっと唇を寄せる。


「僕ねぇ、貴方がアクセサリーを頻繁に購入していることも知っているんだ……なぜだか分かるかい?」


腕が逃がさないように鎖骨を押さえる。体は動きを封じられていた。止むを得ず、嫌々首を左右に何度か振った。


「貴方のことを興味持って調べたんだよ。昔キャバ嬢だったよね? それで踏んだんだ。金遣い荒いだろうってね」


――力が徐々に抜けていく……。


「でさぁー、キャバ嬢の前はなにをしていたの……分かるよね。愛する拓也さんに、ばらされたくないだろう?」


この男は私の過去を知っている――ニゲラレナイ。


抵抗するのを止めた。目の前に見える天井が、いつもより遠く感じられた。


拓也には知られたくない。


されるがまま人形になった。プライドがズタズタだった。


こんなガリガリと痩せた男の罠に掛かるなんて……。


やがて体内にある血も水も、全部が全部吸い取られ、渇いた物みたいになった。


なにもなくなったコワレタ空の箱。それが私の体だった。