「ふざけないで! 離しなさい! 拓也に言いつけるわよ!?」


男が真剣に見つめる眼差しに、少しだけ怯えた。


「言えば良いじゃないか。僕も答えるだけだよ。君の妻は欲求不満で乱れきってるってね」


男は手を離したが、その代わりに両手で私の肩を強く掴み、ソファーに押し倒した。


「ああ、ごめん……笑顔っていうのは君のシャメだよ。いつも誘う写真を載せているじゃないか……何人と関係を持ったの?」


――写真? なんの話?


覆い被さる男の興奮した荒い息がかかる。薄手のシャツに手をかけ、6つの前ボタンが男の力ではじけ飛んだ。


「なにをするのよ! 止めて、きゃああああ!!!!」


指先が肩に力強く食い込んでくるが、構わず露になった白い肌を、破れたシャツで隠した。


「写真って、なんのことか本当に分からないの……これは犯罪だわ!? 今なら間に合うわ。どきなさい!」


目を吊り上げ、睨み付けた。だが男は怖気づくことなく会話を続ける。


「僕、ブログマニアなんですよ。特に主婦の日記は大好物でねぇ、旦那に相手にされない人間は特にそうだが、事細かく日頃のフラストレーションを書き綴る人間が多い……即、場所が特定出来ちゃうんですよ。そんな主婦達を落とすのも趣味でねぇ。これが僕の憂さ晴らしの喜び――」


それと私になんの関係が? ブログなんか書いてないわ?


「栗田さん、本当に知らないの。普段ネットは使わないし……」


男に言葉は届かず、スカートをたくし上げる。