校門前。


今日もるいを待っていた。いつからなんだろう? 彼の駒になってしまったのは。


僕は、彼を好きだった。


男同士? そんな陳腐なもんじゃない。彼は男でもなく、女でもない、美しい人……るいを見た人間は、惹かれずには、いられないだろう。


ただ、近くにいたかった。側で君を見ていたかっただけなのに、なぜこんな事になってしまったんだろう?


好きだけど、近づけば近づくほど、こんなにも残酷な人間だとは思いもしなかった。


僕のライバルなのかも知れないけど、山田綾……君が心配だ。


彼の思いは、とてつもなく、想像以上に深くて暗かった。