「なにも返さないとは言っていないじゃない。ちょっと借りるだけよ、側に曜子がいるみたいで良いでしょう?」


「……ちょっと借りる?」


――こいつがあれば今日は穏やかに眠れそうだ。曜子を思い出し、安心する……後で返せば問題ないか……?


「ねぇ、江藤りさなら両親ネタはなさそうじゃない? 私たちは駄目だけど、りさならどうかな?」


「それってどういう意味?」


「私、山田綾が大嫌いなの! ネックレスを盗んだのは綾。そうすれば、りさはきっと、綾を今以上に許さないわ」 


麻美は急に立ち上がり、怒りを露にした。


――それが本音か。