「な、何でもないの。もう閉めないとまずいよね……」


「そうだけど、どうしたの?」


江藤りさは、キョロキョロと何もない四角い棚を、順々と目で追っていた。


「気にしないで。教室に戻るね……」


苦笑いを浮かべ、りさは更衣室から出て行った。


一体なんだったんだろう? ま、いっか? 早く閉めなくっちゃ。


一升瓶を床に置き、両手で鍵を閉めた。念の為に、ガチャガチャとドアノブを回し、ちゃんと鍵が掛かっているかを確かめる。


よし。これで大丈夫っと。


瓶をまた胸に抱え、職員室へと向かった。