――本当に相談にのりたい顔なの? にやついたその面構え……気持ち悪い。


一瞬、猿田が頭に浮かんだ。いやらしい雰囲気がそっくりだった。


「ごめんなさい、お父さん。急いでるので、今度じっくりお話します!」


背を向け、走り去った。


今日は猿田が帰ってくる……あの力は、本当に私の物になるの? 


もう少し、走れば校門が見えてくる。


――もうあの門を潜るのも、怯えなくて良いんだよね? 本当だよね……先生。


「綾、おはよう」


「……先生」


猿田は待ち構えていたように、玄関前で立っていた。


「君のことだ。いても立ってもいられず、早く登校するだろうと、目に見えて分かっていたよ」