ガタッと思い切り椅子を引き、立ち上がる。


りんと父は、ビクリと反応し見上げた。私はそんな2人を、冷たい目で見下ろした。


「もう、学校へ行く。行ってきます」


「いってらっしゃい、気をつけて」


「車には気をつけるんだぞー」


――ここにいると、私は何の為に生まれてきたんだろう。ふと、そんな事を考えてしまう。


惨めな気持ちで、玄関の扉を開いた。太陽だけは、そんな私を見透かしたように、容赦なく照りつけた。


「おはよう、綾ちゃん。早いねぇ~! 聡子まだ朝御飯だよ」


「あ、聡子のお父さん。おはようございます」


――浮気……本当なんだろうか? 貴方の為に喧嘩したなんて知ったら、驚くだろうなぁ。