朝の食卓。昨日の惨事を引き摺り、暗く、無言が多かった。


トーストをかじり、朝御飯を楽しみたいのに、そんなムードは一欠けらも無かった。


テーブルに載っているサラダを見ては、顔にぶつけられた事を思い出し、フォークでレタスを突き刺した。


「綾ちゃん、昨日はごめんなさい、取り乱してしまって……もう2度と同じ過ちは繰り返さないわ、許して頂戴ね」


目の前に腰を掛けているりんは、刺激しないように言った。


「綾、お父さんも悪かったよ。変な風に巻き込んでしまって、昨日の事は忘れよう?」


父は私の顔色を伺い、控えめに言った。


「……」


――忘れられるはずがないじゃない。もう遅い! 


心の中で呟いた。