「綾、なんだその話? 本当なのか……?」


父親は呆然とし、真っ青になっていた。


「こんな手の込んだ嘘吐くはずがないでしょう! りんさんは浮気してるんだわ!」


「な、何を言ってるいのよ……私が他の人へ、心を奪われるはずないでしょう? 天地がひっくり返っても、そんな事はあり得ない。


嘘よ、嘘! 信じて拓也さん! なんて子供なの……薄汚いわ!」


「お父さん、信じないの? だったら今から聡子の家に行って、聡子のお母さんに尋ねて見たら? ぜーんぶ本当なんだから!」


空気に熱が篭る。2人の熱気で部屋の気温は上昇した。


「あとはお父さんに任せる……疲れたよ。サラダのドレッシング落としたいから、お風呂に入るね……」


――お父さんが私より、りんを選ぶのを見たくはなかった……きっとこれ以上、もう無理なんだ。